当寺は寛延年間(1749~1751)に定められた津軽三十三観音霊場の一番札所で、津軽巡礼の旅はここから始まります。

記録によると津軽三十三ヵ所は、はじめ護国三十三ヵ所といわれ、江戸時代の中頃から番付が改変され、当寺が一番札所となり、結願が観音山普門院として定められました。途中、明治維新の廃仏毀釈で大きな影響を受けますが、明治の中頃から再び観音めぐりが復活し、現在も多くの参拝者が巡礼しております。

津軽三十三霊場一覧

NO寺号住所御詠歌
壱番久渡寺青森県弘前市青森県弘前市坂元字山元1普陀落や 恵みも深き 観世音 罪も報いも はらす宮だち
弐番清水千手観音堂青森県弘前市桜庭清水流104我が庵を 遥々ここに 清水の 流れに浮かぶ 法の月影
参番求聞寺青森県弘前市百沢寺沢29父母の 菩提を願う 百澤寺 佛といわれ 神といわれん
四番南貞院青森県弘前市高杉山下208遥々と 詣でくるまの わが心 名も高杉の 森にとどまる
五番十腰内観音堂青森県弘前市十腰内猿沢78参るより 頼みをかけし 十腰内 聞きしにまさる 古き宮立
六番湯舟観音堂青森県西津軽郡鰺ヶ沢町湯舟町七尾196−1今の世に 神といわれる 木神石 庭の砂子も 浄土なるらん
七番北浮田弘誓閣青森県西津軽郡鰺ヶ沢町北浮田町今須前田かかる世に 祈りてみれば 北浮田 神の恵みも 深き身なれば
八番日照田観音堂青森県西津軽郡鰺ヶ沢町日照田町澤山や 朝日かがやく 日照田を 照らさせ給う 観世音かな
九番見入山大悲閣青森県西津軽郡深浦町追良瀬初瀬山草分深山路や 檜原松原 分け行けば 山と誓いも 深き谷川
拾番円覚寺青森県西津軽郡深浦町深浦浜町275ただ頼め 行くすえ祈る 深浦の 明日の命の ほどは白浪
拾壱番下相野観音堂青森県つがる市森田町下相野野田38−1後の世の 願う心は 下相野 しらがの雪の 降らぬその間に
拾弐番蓮川観音堂青森県つがる市木造蓮川清川58野をも過ぎ 里をも行きて 眺むれば いつも妙なる 法の蓮川
拾参番川倉芦野堂青森県五所川原市金木町川倉林下91−1みなかみは いずこなるらん 川倉の 耳にこと問う 山彦こえ
拾四番弘誓寺観音堂青森県北津軽郡中泊町尾別胡桃谷198万代を 祈り祈りて いまここに 千手の誓い 頼もしのみや
拾五番薄市観音堂青森県北津軽郡中泊町薄市玉清水10−1まんまんと 眺めもあかぬ 十三の海 千年をここに 松風の音
拾六番今泉観音堂青森県北津軽郡中泊町今泉唐崎261昔より ありとも知らぬ 今泉 千手のかみの しるしなるらん
拾七番春日内観音堂青森県五所川原市相内岩井81野をもすぎ 山路に向かう 雨の空 いのれば晴るる 峰の曇りも
拾八番海満寺青森県北津軽郡中泊町小泊小泊204−1見渡せば 御法も深き 海満寺 鐘の響きに 浮かぶあまびと
拾九番義経寺観音堂青森県東津軽郡外ヶ浜町三厩家ノ上陸奥の いわれをここに 来て三厩 浪打 ぎわに駒ぞいさめる
弐拾番高野山観音堂青森県東津軽郡今別町今別中沢234−1高野山 誓いをここに 今別の 石の光りも弥陀の砂利濱
弐拾壱番袰月海雲洞釈迦堂青森県東津軽郡今別町袰月袰村元100鷲の山 誓いも重き 袰月の 影をうきよに のこす砂利濱
弐拾弐番正覚寺青森県青森市本町1丁目1−12浪の音 松の響きも 御法にて 風をも弥陀の 正覚寺かな
弐拾参番夢宅寺青森県青森市浅虫山下208月も日も いそべに浮ぶ はだか島 誓もかたき いしとなるらん
弐拾四番入内観音堂青森県青森市入内駒田116−4おしなべて 高きいやしき 者までも ここに歩みを 運ぶなりけり
弐拾五番松倉観音堂青森県五所川原市前田野目野脇102あな尊と 導き給え 観世音 誓いをここに 松倉の宮
弐拾六番法眼寺青森県黒石市山形町82後の世を 願う心は 軽くとも 仏の誓い 重い黒石
弐拾七番袋観音堂青森県黒石市袋富山112今の世は 弓矢袋に 納まりて 民のかまどは 賑わいにけり
弐拾八番広船観音堂青森県平川市広船広沢89世の人を もらさで乗する 廣船の 誓ひは深し 法のやまかわ
弐拾九番沖館観音堂青森県平川市沖館宮崎266-3きりかすみ 曇りて見ゆる 沖館の 祈る心に 晴るるうす雲
参拾番大光寺慈照閣青森県平川市大光寺四滝本仏法に 名を得し今の 大光寺 参る心も 後の世のため
参拾壱番居土普門堂青森県南津軽郡大鰐町居土我が国を 巡り巡りて 巡礼の めでたく帰る もとの居土へ
参拾弐番苦木観音長谷堂青森県南津軽郡大鰐町苦木熊野平91幾度も 法に歩みを運ぶなり 甘き苦木は 後の世のため
参拾参番普門院青森県弘前市西茂森2丁目17−4今までは 親と頼みし 笈摺を 解きて納める 茂森の寺

参考文献

  • こころ~津軽のお寺さん巡り弘前編(弘前公益社)
  • 津軽―観音巡礼―(補陀落寺満願寺教科部)
  • 新編 津軽三十三霊場(陸奥新報社)
  • 「年報ひろさき市史」第5号(弘前市教育委員会)
  • 「弘前読解本」(弘前観光コンベンション協会)